ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2019.11.3 11:54ゴー宣道場

『泥にまみれて』読了

九州ゴー宣道場の課題図書、
石川達三『泥にまみれて』読了。
なんというか、茫然としてしまった。
まだまだ規定された女の生き方しか
できなかった時代に、ものすごい力で
「結婚」と対峙し、自分とも向き合っている。
これを単純に「男尊女卑の時代だね、
女はかわいそ~」と言っていいものかどうか。

私自身は、妙に共感してしまうところもある。
一方で、反吐が出そうだと思うところもある。
そこまで一人の男に、生涯にわたって
執着するという感覚すら、
自分の過去の恋愛を振り返ってみないことには
もはや思い出せなくなっている。

女のはかなさ、もろさ、恐ろしさ、強さ、
そして執着と諦観、いろいろなものが混ざり合って
一人の「女の生き方」をこの本は提示している。
それを良いとか悪いとか、理解できるとかできないとか、
そうした感想を述べることすら薄っぺらに
感じてしまうほどの圧倒的な内面の描写。
ただただ、こうした「女の生き方」がある(あった)
ということを引き受けなければ
ならないような気がしている。

石川達三、男なのに、よくもまあここまで、
女の美しさと汚らしさを描き切ったなあ。
女以上に女のことをわかっているみたい。

しっかし、女ってこわいな~~~~。
九州ゴー宣道場で、また詳しく議論できればと
思います。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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